リスク評価と監視

グラフ分析によるリスク評価・監視

リスクの評価と監視がますます困難に

国際金融市場の規模の急速な拡大と相互接続による複雑化によって、リスク評価を監視は以前に増して難しくなっています。米国では2600万人の消費者がFICOや関連信用機関による履歴追跡の対象外であり、その数は2018年時点で全人口の15%に上っています。アジアでは、毎年数億人の消費者が中産階級入りしていますが、その人達の大半は金融取引履歴が浅く、信用機関による取引履歴は全くありません。

これは、信用リスクの評価と監視に特有の課題です。規制の状況は年々複雑になり、米国財務省外国資産管理局の制裁措置による制裁対象の銀行への罰金は、12,500ドルから89億ドル以上となっています。その結果このようなわけで、規制リスクの評価と監視の重要性が増しています。クレジットデフォルトスワップや不動産担保証券などの複雑な金融商品の急増によって、流動性リスクの評価と監視の複雑さが増しており、判断を誤った場合のコストは数兆ドルにも上ります。
営業担当者が直面する壁
従来のリスク評価と監視システムの弱点

従来のアプローチではデータソースを跨ぐ分析が困難

大半のリスク評価と監視システムは、リレーショナルデータベースを基盤に構築されているので、取引相手、アカウント、トランザクション、ステークホルダー、金融商品やデリバティブなどの情報が、事業区分の種類ごとに別々の表に格納されています。リレーショナルデータベースは、データ処理や基本的な分析を行えるほか、データのインデックスの作成や検索に最適なツールです。しかし、表や事業区分をまたがったデータの接続にはうまく対応していないので、そこに隠されている複数のリレーションシップを識別して、その関係性からリスクをあぶりだすことができません。

リレーショナルデータベースを使用して潜在的なつながりを見つけるため、アナリストは多数の大規模な表形式データを結合して、クエリを実行する必要があります。このようなクエリの実行には数時間、ときには数日かかることもあり、パーティ間のリンクや取引についての有意義な分析は事実上不可能になります。リスクの評価と監視には、個人のアカウントまたは個人の内部データを超えて、PEP(政治的に重要な公的地位を有する人々)や政府認可のエンティティに関する情報を含むOpenCorporatesWorld-Checkデータベースなどのサードパーティソースの情報と接続する必要もあります。信用リスク評価の場合、モバイルウォレットやeコマース取引、マイクロローンの返済など、従来とは異なるデータソースを統合しなければならないでしょう。厳格なスキーマを持つリレーショナルデータベースは、内部データを複数の外部データソースと簡単に結合することには適していません。

リスク評価と監視にTigerGraphのグラフデータベースを活用する理由は?

グラフ分析によるリスク評価と監視の例

信用リスクをグラフ分析で
評価・監視

米国の人口の15%にあたる人達の金融活動がFICOや関連の信用機関によって記録されていません。フィンテックのスタートアップ企業であるIceKreditは、別のクレジットデータソースを基に、「信用度が見えない」サブプライム人口に属する米国、中国、東南アジアのクレジットスコアを作成しています。IceKreditがTigerGraphを使って算出したクレジットリスクの360度ビューの例を取ってみましょう。TigerGraphは、従来のデータソースに、中国ならWeChatやJD.comなどのEコマースサイトでの取引情報、Alipay、Venmo、Paypalなどのモバイルウォレットの利用履歴、そしてアジアのCashBUSやCrowdoなどのマイクロ金融や個人間の金融サービスプロバイダのローン返済記録から得た金融情報を組み合わせて算出します。

IceKreditは正確なサードパーティデータにアクセスし、AIと機械学習を利用してカスタムで高度なモデルと分析を行い、申請者の包括的なクレジットビューを構築します。またIceKreditの不正防止エンジンは、申請者が不正を行う確率をさらに定量化し、実際のビジネスアクティビティと比較して、クライアントによる見込み顧客への優先順位付け、リスクに基づいた顧客の獲得をよりスマートに行うための意思決定を支援します。データ内にある隠されたリレーションシップとつながりを識別し、リスク評価をリアルタイムで割り当てて更新するグラフ分析は、IceKreditの成功の鍵です。IceKreditはまた、潜在的な金融違反行為に関する調査を支援し、その効率を向上させるためにもグラフ分析を使用しています。

規制上のリスク
グラフ分析で評価・監視

ある銀行にABCという会社から新規アカウント開設の申請があったと仮定した例を見てみましょう。顧客に対するデュー デリジェンスの段階で、会社の所在地と役員であるジム・スミス、ウェイ・チャン、マリア・ガルシア 3名の名前が提出されます。TigerGraphはこのABC社の役員、ウェイ・チャン氏が別のXYZという会社の署名者として登録されていて、その会社は地元の政治家が重要なステークホルダー、またはオーナーであることをデータをつないで衝き止めます。

この情報から、銀行はTigerGraphを使用して、PEP(政治的に重要な公的地位を有する人々)に関する情報が登録されたサードパーティのデータベースによって地元の政治家と関連付けられます。また、その政治家の情報に記載されている住所の1つが、新会社ABCの口座開設申し込み情報に記載されている住所と同じであることがわかります。これらすべてがABC社に関連するリスクを浮き彫りにし、銀行スタッフによるさらなる確認および調査を行われるよう、即時CDDアラートを発生させます。

銀行を例にした、グラフ分析によるリスク評価と監視例